昔使われていた難しい漢字を「旧字体」もしくは「異体字」、そして現代、画数を少なく簡略化された漢字を「新字体」と呼びます。私たち日本人が一般的に使うのは新字体のほうですが、中国では旧字体が使われていますね。表記が少し違う程度で、読み方や使い方はほぼ一緒という、これらの難しい漢字。では、なぜ2種類の漢字が今もなお存在し続け、使い分けられているのでしょうか?今日は、そんな旧字体と新字体について調べてみたいと思います。
旧字体と新字体、それぞれの歴史
旧字体
1946年より前に日本でも使われていた旧字体。日本では、後述する新字体に切り替わりましたが、台湾、香港、韓国、そして中国では今も旧字体を用いています。ご存知の通り、漢字は中国で生まれたもの。その歴史は3300年前にも遡るといわれ、日本に伝達されたのは1600年前で、今でいう「旧字体」が使われるようになります。実は、中国から旧字体が伝わるまで、日本には固有の文字がなく、人々は全て口で伝えていたのだそう!
新字体
そして1946年、「当用漢字」という1850種類の漢字が定められ、日本では「新字体」としてこれらの漢字が使われることになりました。あくまで常用漢字として使うため、それ以前からある人名や苗字などは適用せず、今でも旧字体を使った「渡邊」や「廣瀬」という苗字が存在していますね。
旧字体と新字体はどう違う?
旧字体と新字体の違いは、主に画数と見た目です。旧字体を簡略化し、人々が書きやすくしたものが新字体なので、読み方や使う場面は全く変わらないのです。
旧字体と中国語はどう違う?
旧字体と中国語は、ほぼ同じものと考えて相違ありません。ただ、双方の国で呼び名が違うのが特徴的です。
- 【日本】旧字体・新字体
- 【中国】繁体字・簡体字
そして、旧字体と新字体は使われる地域や国も違うのだそう。
- 【旧字体】中華人民共和国、シンガポール、マレーシア
- 【新字体】台湾、香港、マカオ
中国では旧字体・新字体で違う意味に
日本でいう旧字体と新字体は、形が違うだけで意味や使い方はほぼ同じ、というお話をしました。しかし、中国でいう繁体字と簡体字になると、意味合いが変わってきてしまうものもあるそう!一言でいうと、日本語でいう旧字体に近いのは繫体字。では新字体が簡体字に該当するのかというと、そうではないのです。むしろ、中国語特有の意味合いになるのが簡体字といわれています。違いを見てみましょう!
日本語(新字体) | 繫体字 | 簡体字 |
軽食 | 輕食 | 小吃 |
観光案内所 | 觀光介紹所 | 观光咨询处 |
トイレ | 衛生間 | 卫生间 |
営業時間 | 營業時間 | 営业时间 |
いかがでしょうか?繁体字を見てみると、日本の旧字体とよく似ていたり、読むだけでなんとなく意味を推測できるものが多いことが分かりますよね。逆に簡体字は、日本人に馴染みのない字が多く、読み方も推測できないものが多いです。
このように、日本の旧字体と新字体は意味が変わらないのに対し、中国でいう繁体字と簡体字では、まったく違う使われ方をしているのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?日本でもまだ使われている旧字体は、昔の人が使っていた難しい漢字だということが分かりました。そして、日本でいう旧字体は、中国語でいう繁体字とほぼ変わらないということも驚きでしたね。漢字一文字で深い意味を表すことができるのも、漢字ならでは。中国では簡体字が使われていますが、漢字圏では繁体字を使っている国や地域もありますので、旅行に行く際にも看板などの字が比較的、読みやすいかもしれません。